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親愛なるアレクへ
この手紙は無事に届いたでしょうか。
何から書けばいいのか、いざペンを取り、紙を前にすると悩んでいます。たくさん伝えたいことがあったはずなのにどうしてでしょうか。
まず、報告からしますね。
もうすでに知っていると思いますが、この手紙と一緒に物資を送っています。
アレクたちが出発してから、私に何かできることはないかと考えていました。義姉上やファーナに相談し、リエンヌ殿にも協力してもらって「アダルシャンの風」と名付けた支援団体を作りました。第一線で長きに渡って戦う兵士たちに、アダルシャンからの風に乗って国に残った民や家族の思いが届くように、そしてその風が追い風となってアレクたちの強い味方になればと願って名付けました。
物資の中は兵士たちの着替えや家族の手紙などです。こういったものが兵士たちの心を強くするのだと、アルノー殿に教えていただきました。家族のおられない兵士の方たちには、リエンヌ殿と従業員の方たちの心のこもったお手紙が添えられています。
義兄上にこのお話しをしたとき、きっと最初はお断りされるだろうと思っていました。それが、義姉上がお話されていたのか、二つ返事で了承していただいたのです。今はアダルシャン王妃である義姉上と私の名の下に活動を続けています。この活動がアレクへの力になれると嬉しいです。
アダルシャン国内は、城内も、城下も、アレクたちの活躍のおかげでいたって平穏です。国王陛下でもある義兄上のおかげもあって、表立って混乱も起きていません。ただ、このような時期のため義兄上のお顔の色が少し悪く見え、心配ではありますが、義姉上がいらっしゃるので大丈夫でしょう。
アレクはどうですか?病気などはしていませんか?怪我は、少しの怪我は避けようがないのでしょうが、大きな怪我はしていませんか?食事は取っていますか?睡眠は十分に取れていますか?それから、少しは私のことを思い出したりしていますか?
夜になるとアレクを思い出します。夜の空を見ると胸が苦しくなります。とても、とても逢いたいです。
愛しています。無事に帰ってきてください。アダルシャンで待っています。
あなたの妻 ユスティニア