Page: 1/4
彼女は怒っていた。
彼女の夫がいつまでも彼女のことを子供扱いするからだった。
でも、それも彼からすれば無理もないことなのだ。なぜなら彼の妻でもあるユスティニアは10も下の女性というにはどこもかしこも幼過ぎるのだから。
でも、いっぱしの淑女のつもりである彼女にとっては、その理屈が通用するわけもない。
「アレクのばか!もう私は子供ではないと、何度言ったらわかるのじゃ!」
子供にも大人にもなりきれないユスティニアは、勝手知ったるアダルシャンの王城内を毒づきながら大股で歩を進めていた。城内であれば彼女がどこへ散策に行こうが、咎める者は誰一人としていない。
しかし、それは無性に淋しいときもあった。
「そうじゃ!あそこへ行こう!あの実がもう良い具合に色づいているはずじゃ」
淋しさで俯きそうになる顔を無理に上げて、ユスティニアは目指す場所へと駆け出した。