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「リビ。今回のこと、ごめんな」
ひとしきり二人で顔を見合わせて笑った後、俯きがちにニケがぽつりと言った。
「何が」
そう言いながらリヴィウスは彼女に向き直る。彼女は彼を見ない。
「私のせいでこんなことになって。そのせいでお前に迷惑かけて。でも、私じゃ何もできない…」
「そんなこと」
ニケはひどく落ち込んでいた。
彼には彼女のことだけは痛いほどわかる。
でも、だからこそ、それをできるのは彼しかいない。
「そうだな」
彼の顔が悪戯っぽく笑う。彼女はそれには気づかない。
「よし!それじゃあ罰として、お前にその分を埋め合わせてもらおうか」
「はっ!?埋め合わせって、わっ!」
彼の様子が何かおかしいと気づいた瞬間、ニケは彼の隣で彼を見上げる格好になっていた。
「ちょっ、何だ!?一体何っ」
「ん~、黙れよ」
「いや、ちょっ、リビ!んっ」
ニケの言葉が甘い呻きに変わる。
「はっ…。ちょっ、やめっ…。リビ!」
「うるさい」
「う、うるさいって。リビ!」
「ちょっと黙ってろ。俺はお前に癒してもらいたいし、これはお前にしかできないんだから。それとも、俺に触れられるのは嫌か?」
リヴィウスがニケの髪に触れそっと口付ける。
もう幾度となく互いの肌を触れ合わせた今でも、リヴィウスは時々思い出したように尋ねる。返ってくる答えが同じだとわかっていても。
「嫌じゃない。リビ。お前になら触れて欲しい」
「俺もだ。ニケ」
そう言って二人は見つめあう。
触れ合った唇は甘く優しかった。
= Fin =