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「ふぅっ」
「どうかしたか?ニケ」
小さく息をついたニケに、少し心配そうにリヴィウスが問いかける。
「いや。なんでもない」
リヴィウスにそう答えながら、ニケは頭の中でカレンダーをめくった。
(ああ、そろそろか)
ニケは憂鬱そうに頭の中で呟く。
こればかりはどうやっても避けようがない。この国にやってきてからは、気が張っていたためかそれほどでもなかったのだが、今までの経験上、今回はどうやら辛い状態が待ち受けていそうだ。
(今日、いや。明日かな)
ニケは大きな窓から見える円とは僅かに言えかねる月を見上げて、もう一つ、小さく息をついた。