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それは、炎。赤く、赤く、燃えるあなたへの心…。
「じゃあ、火をつけるよ」
カズは胸ポケットからジッポを取り出し、キャンドルに火をつけた。ジジッと音を立てて燃え出したキャンドルは、時おり二人の吐息に揺られながらも静かに燃えていた。
互いの瞳に揺らぐ炎を見ながら、どちらともなくキスをした。
キャンドルの炎はずっと消えることはないと、そう思った。
「ごめん…」
突如、告げられた言葉。泣いて、縋って、それでもカズの瞳にあの時の炎が揺らめくことは2度となかった。
残ったのは、あの日二人で灯したキャンドル。
カズが忘れていったジッポのライターで火をつけるとあの時と同じようにジジッと音を立てて燃え出した。揺らめく炎の先にカズはいないのに…。