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Cool Box  - 獣拳戦隊ゲキレンジャー -

様はいらない

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「あの、理央様」

戸惑いながら問いかけるメレに、理央はその口を指でそっと塞いだ。

「メレ。お前はいつになれば『様』をやめるんだ?」

そう言われて咄嗟に「すいません」と言いながら頭を下げようとするメレに、理央は彼女にぐぐっと詰め寄った。

「謝るのもなしだと、俺は言わなかったか?」

息がかかるほどの至近距離でそう言われて、メレは顔をこれ以上もないほど赤らめながら、再び口から零れそうになる謝罪の言葉をごくりと飲み込んだ。

「まだ、俺が信じられないか?」

そう問いかけた理央の顔は、どこまでも真剣で、僅かな不安が瞳の奥に見えた。
それに気づいた途端、メレは思わず「いいえ」と口にしていた。

「信じております。ただ…」
「ただ?」
「信じれないのは、私自身、なんだと思います」
「?」
「本当の私を知ってしまったら、きっと、きっと!」

理央を見上げるメレの瞳が不安に揺れる。
彼女の闇は深い。それに理央は気づいていた。
理央はメレを見つめ、しっかりと己の腕に抱きしめた。彼女がこれ以上、不安に揺れて闇の奥へと落ちてしまわないように。

「メレ」
「はい」
「俺を信じるお前を信じろ」
「えっ?」
「お前がお前自身を信じれないのなら、そんなお前が俺だけを信じれるというなら、俺を信じるお前を信じればいい。俺は、お前を裏切らない」
「理央様…」
「『様』はいらないと、俺は言わなかったか」

からかうようにそう言って彼女の顎を取り上を向かせる。
理央の強い言葉と熱い腕に、メレの瞳の中で揺れていた不安が少しずつ凪いでいく。

「信じます。理央、を信じる私を」

少し恥ずかしそうに、だがしかし、しっかりと彼の名を呼ぶメレの瞳は、目の前の理央を映していた。

「信じろ。俺を」

そう言って、理央はメレに口づけた。





= Fin =



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