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「嬉しそうだな、ケン」
ここはスクラッチ特別開発室。
大テーブルに座ってニコニコと嬉しそうにみんなの様子を眺めているケンに、ゴウが話しかけた。
「ん?そうだね。嬉しいよ」
ゴウの方も見ずにケンは答えた。
「これで終わりというわけじゃないが、まあ、理央とも話せてよかったよ」
「理央?ああ。ゴウはそうかもね」
「違うのか?」
「あれ見て何も思わない?」
「あれ?」
ケンの目が指し示したのは目の前の光景。
ゲキレンジャーの面々に、今までは考えられなかった理央とメレの姿がそこにあった。
「理央とメレが増えたってことか?」
ゴウの答えに、ケンは俯いて大きな溜息をついた。
「まあ、ゴウ兄さんはそうだってわかってたけどさ。ほら!増えたでしょ!女の子が!あそこ!見てよ!兄さん!」
最後は怒り気味にケンは言ったが、ゴウの方は「だからそれがどうした」と言わんばかりの顔だ。
「あのね、兄さん。女性がいると、場が華やかになるっしょ。俺が喜んでるのはそれ!わかる?」
ケンがどれだけ力説しても、自他共に認める朴念仁のゴウにはさっぱりわからない。
「そんなものか?まあ、色は増えたかと思うが」
「色って…。ゴウ兄さん、あんた、それだからダメなんだよ…」
この失礼なケンの言いようは、さすがにゴウにも伝わったらしい。
「ダメって、ケン!お前なあ」
「はいはい。わかったから。今は俺、この幸せを堪能したいのよ」
むさ苦しい部屋に、見目麗しい若き女性の華二つ。
ケンは純粋な男心で目の前の華を嬉しそうに見つめた。
= Fin =