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「マスター・ジャン!いつも首に下げてる丸いのは何なの?」
もしかしなくても『丸いの』とは私のことですか!?
「ああ、これは『ロン』ってやつなんだ。悪いことをしたからコロコロになったんだ」
私がどんなことをしたというんですか!
「ふぅん。何をしたの?」
「俺のムニムニを、ずっと苦しめたんだ…」
ふん。何を言うんですか。私のほうが苦しめられているではないですか!まったく、忌々しいっ!この封印さえ解ければ、お前など!お前などっ!!!
「でもな、ずっとこいつと一緒にいて思うんだけど、もしかしたら、こいつ、一人で淋しくて、シオシオになりすぎて、ニキニキなことを探そうとしただけなんじゃないかって」
一人で淋しい、ですって!?この私が!?無間龍であるこの私が!?
「でも、悪いことをしたんでしょ?」
「そうなんだけどな、誰だって一人ぼっちだと、シオシオになってしまうだろ。俺はとおちゃんやかあちゃんがいなくても、パンダとかいたからシオシオにならなかったけど、もしもそうじゃなかったら、ニキニキなこと探そうとして誰かを苦しめてしまったかもしれない」
「…なんだかよくわからないです、マスター・ジャン」
「あはは、そうだな。実は俺もまだよくわかってないんだ」
ふん。よくわかりもしないくせに『マスター』などと呼ばれているのですか。このひよっこめがっ!だいたい、無間龍たる私のことが短い間しか生を持たないお前などにわかるわけがないでしょう!?思い上がりも甚だしいっ!こんなものに閉じ込められてなければっ!こんなものにっ!!!
「でも、いつか、わかりたいって思ってるんだ」
「え?でも、マスター・ジャンのお友達を苦しめたんでしょ?」
「ああ。でも、こいつもいっぱい苦しんだんじゃないかって思うんだ。苦しくて苦しくて、ニキニキを間違ったんじゃないかってさ」
「…やっぱり難しいです」
「ははは、いつか俺にもお前にもわかるときがくるさ。さ、修行するぞ」
「はいっ!マスター・ジャン!」
…なんなんですか、こいつは。
怒りや憎しみならまだしも、理解したいとは。
ふっ。まぁ、いいでしょう。
もう少しだけ、お前に付き合うとしましょう。
= Fin =