Page: 1/1
|
それは高い頂。季節などなく、いつ如何なるときでも吹き抜ける風は鋼のように冷たく鋭い。
彼はそんなところを好んでいた。
いつからだったろうか。臨獣拳を目指した頃か。いや、それよりもずっと前だったような気がする。
彼はそんな場所で、じっと腕を組んで佇んでいた。
臨も激もない、ただの獣拳を学んでいた頃から、彼は一人を好んでいた。いつの頃からか、そんな彼を人は『孤高のカタ』と呼ぶようになった。
カタ。
臨獣拳の数少ない最高拳士の一人。そして、かつては獣拳の数少ない最高拳士の一人でもあった。
その昔から、彼は変わることなく、高い頂に佇んでいた。
そう、雨の日も、雪の日も…。
?
えっと、カタ様の後ろに、こじんまりとして小奇麗なおうちが見えるんですけれども?
あれ、雨が降り出しましたね。
あれれ?カタ様、どこへ?
あれ、おうちに入っちゃいましたけど。
やっぱ、雨の日や雪の日は「おうち」がいいですよねぇ(^_^;)
= Fin =