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「理央様ぁ~、待ってくださいってばぁ~♪」
ロンを再び封じ、ゲキレンジャー達と別れた二人は、自分達がいるべき場所へと向かっていた。
ほんの少し顔の赤い理央とともに。
「理央様、いったいどうやって戻るんですか?」
懸命に理央を追いかけながら、至極もっともな問いをメレはした。
そもそも、どういう経緯からこうなったのかメレは知らない。
それもそのはず。ロンを再び封じてくれと依頼したファンとメレは一度も相対したことがない。なぜなら、ファンはいつもメレの体を使って理央の前に現れるからだ。その時、メレの意識は当然ながら、ない。
今回もロンが復活したと理央から聞いただけで、なぜ理央がそれを知ったのかなど、詳細は一切問うていない。メレにとって、理央の存在だけがすべてだから。
「理央様、もう陽が沈みます…」
やっと理央に追いついたメレは、彼方に沈みかける陽を見つめて言った。
その言葉に理央は立ち止まり、空(くう)を見つめた。
「ファン。見ているんだろう。さっさとしろ!」
ファン?誰?
初めて聞く名に、メレは少し眉をしかめた。
「もういいのかい?」
「早くしろ」
「もう少しこの世界を楽しみたいのかと思ってね」
「くどい」
理央と軽口を叩きながら現れたものは、龍、だった。
「り、理央様っ!」
メレが驚くのは無理もない。
先ほどまで自分達が戦っていた相手、無間龍・ロンと同じ金色の龍が目の前に姿を現したからだった。
「案ずるな。敵ではない」
敵ではないと言われても、そう簡単には信じられなかった。
無理もないだろう。
過去にあれだけ手こずらされた相手なのだ。そして、つい今しがたまで。いくら理央が言おうとも、頭から信ずるわけにはいかない。いざとなれば、理央を守らなければいけない。自分を盾にしてでも。
メレは静かに戦闘体制を取った。
そんなメレを知ってか知らずか、理央はファンの前に進み出た。
「早くしろ」
「そう急かすでないよ」
ファンの指先から金色の光がこぼれ、丸い環を作った。
「入りな」
ファンに指示され、理央は素直に従うそぶりを見せたが、メレは動こうとしなかった。
「メレ、行くぞ」
「しかし、理央様!」
「大丈夫だ、来い、メレ」
躊躇するメレの手を強引に引き、理央はファンが作った光の環の中にメレと供に入った。
二人が入るのを確認するや否や、ファンは金色の環を手に掻き消えた。