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= 1.最後のウソ = 「『最後のウソ』かぁ…」 そうつぶやきながら、私の頭にはあの人が浮かんでいた。 彼と最後に逢ったのは一ヶ月前。別れを切り出しておきながら、泣きじゃくる私を心配してた彼。 年上だった私は、もしもの時上手にさよならしてあげるつもりでいた。なのに現実は…。 『心配しないで。たぶん大丈夫だから。』 精一杯の笑顔とともに告げた言葉は、彼を安心させるためについた、私の最後の精一杯の気持ちだった。 「彼とは、アレが最後になってしまうの?」 そうつぶやいた私に、答えるものは誰もいない。